Posted On: October 29th 2026, 10:54 am
その不可思議さに呑み込まれたような夢を観たのは、読みかけの本を数冊重ねた夜のことである。
雪のふる夜更けは月明かり。
だのに私の足下を照らすのは月明かりでもなく雪あかりでもなかった。
自らが発光していて
歩くたびに光が分散しゆく。
まるで妖精の粉がおちるかのように。
スノードームのようなちいさなこの世界では、出会いたくなくともきっと出会ってしまう。
Trick or Treat!
気づかないうちにアフロディーテの子がいたづらしてた。
ズボンのポケットには飴玉がたくさんあったのに。
Trick or Treat!
時すでにおそしのこの世の中心で
、ただ独り ただひとり。
わたしは膝からくずれおちる。降り積もった雪に私の粉がふわりと舞う。
あたり一面のきらめきは、鈍色の痛みには似つかわしくなく金色だった。
Trick or Treat!
そこでその夢から帰還するのだが、窓からさす星あかりがまぶしかった。
ベッドよこのサイドテーブルにはなぜだかスノードームがあり、なにかキラキラしたものが舞っていたのだった。
読みかけの数冊の本は積み重ねたまま。
わたしは広い世界のすみっこに、きらめく痛みをぼんやり眺めるように再びねむりにつく。
いまいちど世界の中心にいくために。